お墓参り

お墓参りでお供えする食べ物飲み物のタブーは「考え方」次第

アシスタントちえ
アシスタントちえ
お墓参りでお供えする食べ物は「肉や魚はダメ」「においや辛みの強いものはダメ」と言われていますよね。
筆者・やま
筆者・やま
でも、私はお墓参りの時には故人が好きだったハムサンドやフィッシュバーガー、やきとり缶、ガーリック味のポテトチップスをお供えしています。要するに、タブーについての独自の考え方次第だと思うんです。

お墓参りでお供えする食べ物・飲み物は、仏教においては五供(ごく)の1つ「飲食(おんじき)」として、故人を供養するためのものとして扱われています。

仏教では、この飲食について「肉や魚は殺生を連想させるのでダメ」「においや辛みの強いもの、具体的には五辛(ごしん)と呼ばれるにら、にんにく、ねぎ、らっきょう、はじかみ(しょうが、さんしょう)は仏教では食すことを禁じられているからダメ」とされています。

しかし、お墓に関する取材を続けている筆者ですが、ハムサンドやフィッシュバーガー、やきとり缶といった「肉や魚が使われているもの」、ガーリック味のポテトチップスという「にんにくの入っているもの」をお供えしています。個人的な話になりますが、筆者の義兄が若くして他界しており、その義兄が生前好きだった食べ物なのです。では、このお供えは不適切で、筆者はタブーを犯しているのでしょうか?

その是非を筆者はネット上でいろいろ調べてみたのですが、明確に回答している記事や動画は一つもありませんでした。

そこで、本記事ではお墓やお墓参りについて取材を続けている筆者が自らの経験もふまえ、お墓参りのお供えする食べ物飲み物についての「肉や魚はダメ」「においや辛みの強いものはダメ」というタブーに一定の見解を導き出したいと思います。

お墓参りにお供えする食べ物飲み物についての基本的な考え方

まずは、お墓参りにお供えする食べ物飲み物についての基本的な考え方を下記の表にまとめてみました。

基本的な考え方
故人やご先祖様が生前好きだった食べ物・飲み物をお供えする
ただし…
肉や魚のお供えは避ける(殺生を連想させるため)
五辛(にら、にんにく、ねぎ、らっきょう、はじかみ(しょうが、さんしょう)は避ける(仏教では食すことを禁じられているため)
墓地の運営者(寺院や墓苑・霊園など)が禁止している食べ物や飲み物は避ける

このように、基本的には「故人の供養のためにお供えする」という主旨から「故人の生前好きだった食べ物や飲み物」を選ぶという考えで問題ありません。

ただし、肉や魚、そして五辛にあたるものは避けたほうがよいと思います。

とはいえ、ここで筆者が問題にしたいのは、肉や魚、五辛そのものではなく、「これらにあたるものが含まれている食べ物である場合にどう考えるか」ということです。

具体的には、私がお供えしたような、故人が生前好きだったハムサンドやフィッシュバーガー、やきとり缶、ガーリック味のポテトチップスなどの場合です。

お墓参りのお供えに肉や魚、五辛「が含まれている食べ物」はOKか?

冒頭で述べたとおり、この是非を筆者はネット上でいろいろ調べてみたのですが、明確に回答している記事や動画は見つけ出せませんでした。

その中で、明確な回答ではないものの「複数人の個人的な見解」が示されているYahoo!知恵袋のQ&Aがありましたので抜粋いたします。


このQ&Aを見ていると、「ビッグマック程度ならOKではないか」という空気が感じられます。

要するに、肉そのものをお供えしているのでなければ、「故人の生前好きなもの」であるなら良いのでは、という考え方だと言えます。

これと同様の考え方に立てば、ハムサンドやフィッシュバーガー、ガーリック味のポテトチップスもOKと解釈できます。筆者はこの考え方を支持し、肉や魚「が含まれているもの」であればお供えしてもよいと受けとめています。

やきとり缶は、中身は鶏肉そのものになりますが、コンパクトな缶の中に入っていて肉がそれほど目立たないことから、個人的にはお墓参りのお供え物としてタブーではないと筆者は考えています。

ちなみに、筆者は他にも、お墓参りの際にはやはり義兄が生前好きだった焼きそばパンやソーセージパンなどの惣菜パン、コカ・コーラもお供えしています。そして、お墓参りが済めばその場で親族で分け合って飲食し、出たゴミを持ち帰っています。

お墓参りにお供えする食べ物飲み物のタブーを考えすぎるとお供え物選びが窮屈になる

そもそも論として、普段の食事で肉料理・魚料理は必ずといってよいほど出るものであり、加工肉や魚肉のすり身製品など、肉や魚が含まれた食品も日常的に食していると思います。そのため、故人の生前好きだった食べ物も、必然的に肉や魚が含まれるものが思い浮かぶのではないでしょうか。

それなのに「肉や魚はダメ」としてしまうと、お供え物選びが窮屈になってしまいます。もちろん、においのきつい食べ物はそのにおいがまわりの迷惑になることがあるので避けるべきですが、そうでない限りは、肉や魚「が含まれるもの」であれば、故人が生前好きだったものをお供えして、早々にみんなで食すということでよいのではないかと筆者は考えています。
ちなみに筆者の親族も同じ考えです。

寺院や墓苑・霊園で明確なルールが示されていればそれを遵守する

筆者はお墓参りでお供えする食べ物・飲み物について以上のような見解を持っておりますが、お墓を管理する寺院や墓苑・霊園によっては「酒類やタバコのお供えは禁止」など、明確なルールを示しているところもあります。その場合は、やはりルールに従ってトラブルにならないようにしましょう。

ちなみに、明確なルールが示されていない場合に、心配だからと寺院や墓苑・霊園に問い合わせるのは良し悪しがあると思います。なぜなら、たとえば「ハンバーガーをお供えしてもよいですか?」と問い合わせてしまうと、寺院や墓苑は立場上、「肉は殺生を思わせるのでお供えしないでください」と回答する可能性が高いからです。

その他、特に地方のお墓にお墓参りをする場合は地域特有の文化・風習にも気遣う必要があります。「この食べ物・飲み物はお供えしてはいけない」とされているものがあるかもしれませんので、その地域に親戚縁者がいる場合にはあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

お墓参りにお供えする食べ物飲み物のタブーではないが、それとは別に気にしなければいけない問題もある

他にも筆者がYahoo!知恵袋を見ていると、「なるほど、そういう問題もあるのか」と感心させられた質問がありました。それが下記になります。

「糖尿病だった仏様へのお供え物として、甘い物を供えるのはNGですか?」

回答は概ね「亡くなったら関係がない。故人の生前好きだったものであるなら甘いものをお供えしてもよい」というものであり、筆者もその回答に同意します。ただし、故人が自分の親族ではない場合は、万全を期すならば、親族の方に確認を取るのがよいと思います。

また、同じ主旨の質問として「肺の病気で亡くなった故人のお供え物に、生前好きだったタバコをお供えするのはOK?NG?」というものもあります。これについても「亡くなったら関係がない。故人の生前好きだったものであるならお供えしてもよい」という考えでよいと思います。

まとめ

アシスタントちえ
アシスタントちえ
結論としては、お墓参りでお供えする食べ物・飲み物については肉や魚、においや辛みの強いものの「そのもの」ではなくて「含まれているもの」であるなら、故人の好きだったものをお供えしてもよいという感じでしょうか?
筆者・やま
筆者・やま
そうですね。寺院や墓苑で明確に「◯◯のお供えは禁止」としている場合以外であれば、その考え方で問題ないと思います。

お墓参りは故人やご先祖様の供養のために行うものであり、お供え物はその故人やご先祖様への感謝の気持ちを表すものです。

この原点に立てば、お墓参りにお供えする食べ物・飲み物は、故人やご先祖様が生前好きだったものをお供えするのが理にかなっているはずです。

ただし、たとえば焼き肉が好きだったからといって焼き肉そのものをお供えするのは仏教の観点からタブーとなりますし、まわりでお墓参りしている方々の目にとまると仏教の観点+においの点から怪訝な顔をされる可能性が高いです。

この場合、肉や魚「が含まれるもの」という観点に立てば、たとえば焼き肉が挟まれたライスバーガーであれば外見的には問題なさそうです。

こうした応用を利かせながら、故人やご先祖様が生前好きだったものをお供え物に選ぶとよいのではないでしょうか。

この記事が、「お墓参りでこの食べ物・飲み物をお供えしていいのだろうか」と迷った時の参考になれば幸いです。

ABOUT ME
著者 ライターやま
自宅近隣に大きな墓苑があることと自らもお墓参りを行うことからお墓の取材を続け、お墓とお墓参りにまつわる記事を執筆する専門ライター。専門家の見解も取り入れながら独自の視点で解説することをモットーとしている。