お墓参りは、故人や先祖を偲び、感謝の気持ちを伝える大切な時間です。しかし、いざお墓参りに行ってみると「どんな言葉をかけたらいいのかわからない」「失礼なことを言ってしまうのではないかと不安」と思ってしまう方も多いのではないでしょうか?
筆者も、初めてお墓参りをしたときには何を話していいのかわからず、ただ手を合わせるだけになってしまいました。そこで「お墓参りで故人やご先祖様にかける言葉はしっかり学んでおこう」と思ったのです。
ただし、単にかける言葉を覚えるというのでなく、故人や先祖への感謝の気持ちと、今の自分の気持ちを伝えるという前提が大事です。
本記事では、お墓参りで故人やご先祖様に喜ばれる「かける言葉」の具体例を、感謝の気持ち、近況報告、お願い事など、状況別に9個ご紹介します。さらに、お墓参りの言葉選びのコツや、よくある質問にも答えていきますので、かつての筆者にようにお墓参りの「かける言葉」がわからない、迷うという場合はぜひ最後まで読んでみてください。
お墓参りで「かける言葉」の基本は故人やご先祖様への「感謝」
お墓参りでどんな言葉をかけたらいいのか。これを考える時にまず基本となるのは、故人やご先祖様への感謝の気持ちを伝えるということです。
難しい言葉や難しい言い回しは必要ありません。素直な言葉で、あなたの心の声を伝えてみてください。以下に、感謝の気持ちを伝える「かける言葉」の例を挙げていきます。
お墓参りで「かける言葉」感謝の気持ち編
状況 | 言葉の例 |
---|---|
生きていてくれたことに感謝する場合 | 「いつも見守ってくれてありがとう」「あなたのことを忘れません」「おかげさまで、私は元気です」 |
具体的なことを感謝する場合 | 「あの時、〇〇(具体的な出来事)のアドバイスをくれてありがとう。おかげで乗り越えられました」「〇〇(具体的な教え)をいつも忘れません」「〇〇(具体的な影響)を与えてくれて感謝しています」 |
愛情を伝える場合 | 「あなたと過ごした日々は、私の宝物です」「あなたのことをいつも思っています」「大好きです」 |
故人やご先祖様に近況報告をして絆を深める
お墓参りでは故人やご先祖様への感謝の気持ちを伝えると同時に、近況報告もすることでつながりと絆を深めることができます。
お墓参りで「かける言葉」近況報告をする言葉編
状況 | 言葉の例 |
---|---|
仕事やプライベートの話をする場合 | 「仕事は順調だよ」「〇〇(趣味)を始めたんだ」「〇〇(家族のこと)と元気にしてます」 |
嬉しい出来事を報告する場合 | 「〇〇(嬉しい出来事)があったよ」「〇〇(目標達成)できたよ」「〇〇(新しい挑戦)を始めようと思うんだ」 |
悩んでいることを打ち明ける場合 | 「〇〇(悩み事)で悩んでいるんけど、なんとか乗り越えられるようにします」 |
故人やご先祖様にお願い事をするのはタブーか
その根拠は、とある神宮の神官の方に「神様にお願い事をする際の言葉」を教えていただいたことです。
たとえばビジネスでの成功をお願いする場合には「事業の繁栄と富を受け取れますようにお力添えをお願いいたします。それにより、何が起ころうと、すべて受けとめさせていただきます」という言葉でお願いするのです。
ポイントは、「それにより、何が起ころうと、すべて受けとめさせていただきます」というように、お力添えをいただいたことで自分の身に何が起こっても受け容れる姿勢を明確にすることです。
このポイントが守られている限り、お願い事はしてもよいということでした。
そのため、お墓参りでも、「お力添えをいただいたことで自分の身に何が起こっても受け容れる」ことを合わせて伝えるならば、故人やご先祖様にお願い事をするのも許されると考えます。
お墓参りで「かける言葉」お願い事編
状況 | 言葉の例 |
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健康を祈願する場合 | 「どうか、家族みんなが健康でいられますようにお力添えをお願いいたします」「病気や怪我から守ってくださるようにお力添えをお願いいたします」 |
仕事や学業の成功を祈願する場合 | 「仕事がうまくいきますようにようにお力添えをお願いいたします」「試験に合格できますようにお力添えをお願いいたします」 |
人生の指針を求める場合 | 「これからの人生、正しい道を歩めるようにお力添えをお願いいたします」「迷った時は、最善の道を行けるようにお力添えをお願いいたします」 |
それぞれ、お願い事をした後には「それにより何が起ころうと、すべて受けとめさせていただきます」と申し添えることを忘れずに行いましょう。
リアルに会ったことのない代々のご先祖様にも言葉をかけよう
大阪市にある浄土宗大蓮寺の秋田光彦住職が運営する「YouTube大蓮寺チャンネル『仏教と生き方のお話』」の動画「法話|世界で珍しい日本の『お墓参り』の習慣。その意義とは。」の中で、秋田住職は次のようにお話しされています。
一般的にお墓というものは、先祖代々、ご先祖様から私たちへと脈々と受け継がれてきたものです。そのお墓を通して、私たちは亡き父や母、祖父や祖母、あるいは顔も知らない先祖代々の存在を認識し、お墓を共通の場として(お墓参りの時に)語り合うことを続けてまいりました。
お墓参りでご先祖様に言葉をかける場合、多くの方が父母、祖父母、曽祖父母といった「自分がリアルに会ったことのあるご先祖様」に向けてメッセージを伝えていると思います。しかし、「先祖代々」と言われているように、ご先祖様は何代も前からいらっしゃいます。両親は2人、祖父母は4人…と10代さかのぼると、ご先祖様の数は1024人。さらに20代までさかのぼると100万人を超えます。あなたも筆者も、この世に生まれてきたのはそのご先祖様が一人の例外もなくこの世に生きておられたおかげです。
それを思えば、会ったことがない代々のご先祖様にも感謝の言葉をかけることも忘れたくないものです。
さきほどの秋田住職も、同じ動画の中でこのように仰っておられます。
(お墓参りは)時間や空間を超えたところに感謝の思いを届ける非常に聖なる時間。そういうお参りを通してこそ、自分自身を取り戻す。自分自身の中に心の落ち着きや安住を感じる。
お墓参りでかける言葉はこのように「誰に向けて言葉をかけるか」ということも意識しましょう。代々のご先祖様にまで感謝の言葉を伝えれば、ご先祖の皆様は必ず笑顔になり、幸せを感じてくださることと思います。
お寺の本尊様にも言葉をかけよう
徳島市にある真言宗大覚寺派の地福寺が運営するYouTubeチャンネル「地福寺 お経 法話チャンネル」によると、墓地がお寺にある場合はお寺の御本尊様、また墓地に祀られている仏様がある場合はその仏様にもご挨拶をすると功徳がいただけるそうです。だからというわけでなく、素直な感謝の心として、御本尊様にも感謝の言葉を準備して伝えましょう。
まとめ|お墓参りでかける言葉は「感謝・近況報告・お願い」
本記事では、お墓参りで故人やご先祖様にかける言葉について解説してきました。感謝の気持ちを伝える言葉、近況報告をする言葉、お願い事を伝える言葉など、さまざまな言葉を心からの気持ちで伝えることで、故人やご先祖様と深い絆で結ばれるお墓参りができることでしょう。